2004.5 呉連枝老師講習会レポート

2004年4月末より呉連枝老師をお招きし、開門拳社として4回目の講習会を行いました。今回は、こちらがお願いしていた内容に加え、老師から「どうしても教えたいものがある」とのお申し出をいただき、盛りだくさんの内容となりました。


▲呉連枝老師より呉会清先師伝の「老小架」を学ぶ。


講習会スペシャルレポートコミック! CLICK!


 2004年のゴールデンウィーク、待ちに待った呉連枝老師の講習会です。今回私は、5月1日の内功五法、5月3・4・5日の単打・対打講習会に参加させて頂きました。
 私は前回の講習会直後の入門ですので、入門以来、呉連枝老師にお会いできるのは、これが初めてです。5月1日に会場にお見えになった老師を目の前にすると、もう嬉しくてニヤニヤしっ放しでした。かといって、中国語は解りませんし、緊張して直立したまま黙ってニヤニヤというのは、さぞ薄気味悪かったと思われます。大変失礼いたしました。
 初めてお会いする呉連枝老師は、とても笑顔の暖かい方でしたが、やはり存在感が物凄くて、老師が側を通られるだけでドキッとしてしまいます。生来ミーハーな私は「今頭の中が真っ白でどうする!」と心の中で自分を叱咤しておりました。

 今回の講習会では、参加させて頂いた日だけでも、内功五法、老小架などの、大変貴重なものを公開して頂けたとの事で、正直言ってレベルは全く追い付かないのですが、順序だけでも憶え切れないとあまりにも勿体ないと思い、必死でした。
 老小架は、普通の小架も一路までしか勉強していない私にとって、衝撃でした。特に老々小架は、これが一番最初の小架だったのかと思うと、何としても憶えて、将来はもっと意味を理解できるようになりたい、と強く感じました。
 また普通の小架一路や、今回のテーマである単打と似た動作も多く、所々混ざってしまったりします。ですが逆に、混ざってしまう部分にも注目するべきなのかも知れない、と感じました。似ていて違うというのが、なぜ違うのか、どこが似ているのか、今の私にはまだ理解できていないですが、とても興味が沸くところです。
 とにかく今回の講習会は、ひとことで言うとお腹一杯でした。ですが私のような初心者にも、それだけ重要なものを見せて頂いた訳ですから、嬉しい事この上ありません。あとは、取りこぼしが少しでも減るように、努力しなければなりません。

 4日にはビデオの撮影もあり、これもまたありがたい機会でした。
 套路を教わっている間は、先ず順序を憶えるのに必死で、また自分も動きながらなので、老師の動きをじっくり見て勉強できるだけの余裕がありませんでした。その分、目の前で老師が実演される時は、細かな動きも見逃すまいと構えていたのですが、いざ始まってみると想像以上の迫力に圧倒され、ただ見ているだけという状態になりがちです。
 それでも、もしあの機会がなかったら、勉強できる事は少なくなっていたと思います。例えば、胯を動かすときの足先の向きの変化は、本当に胯を動かせる人にとっては必須でないのかも知れない、ですとか、多くの新しい疑問も沸いてきました。私はやはり、身体を動かしていない時の方が、集中してものを見られる様で、今後の練習でも、もっと見る事を大切にしなければと思いました。
 他にも、その場で行なう単打や、小纏の破法など、とても貴重なものをたくさん見せて頂きました。どれも今の私のレベルで活かせる様なものではないと思うのですが、しっかりと憶えていて、目標にしたいと思います。

 そして今回、とても印象に残ったのが「套路の中に沢山の両儀の変化が含まれています」というお話と、呉連枝老師に質問させて頂いた際に、何度か「これらの動作は同じものです」というご説明を頂いた事です。
 想像するに、私たちのような初心者は、何も解らないので形を真似する所から始めるのでしょう。形しか知らなければ、少しでも形が違うものは、違う技だと思ってしまいますが、ある時先生に「これは同じですよ」と言われて、はたと疑問に感じるわけです。「どの部分が同じなのだろう」と。同じ理由で「小架は殆ど全てが両儀の変化です」と教わってから、慌てて「両儀をどう変形すればこの形になるのだろう」と考え始めるわけです。
 でも、両義がどれだけ重要か、六大開がどれだけ重要かなどを、私たちの様に拳歴の浅い者にいきなり理解させることは、きっと不可能なのでしょう。だから形が変わっても変わらない何かを、ある時は指摘されて、ある時は自分で考え、気付いてゆくしか無いのかも知れない、と感じました。
 そこでようやく始まった疑問の、ずうっと先に、両儀や六大開という言葉があるとすれば、やはり、何て奥の深い世界に足を踏み込んでしまったのだろうと、つくづく感じます。きっと老師や先生にとっては、もっと飛んでもない技同士が、同じものであったりするのかも知れないですね。

 今回の講習会では、例え私が一人でどんなに八極拳に憧れていたとしても、決してお会いする事の叶わないような素晴らしい老師に、実際にお会いする事ができました。そればかりか本部教室では、呉連枝老師直々に三靠劈のお相手をして頂いたり、持って行った本には歌を書いて頂いたりと、どの出来事も一生の思い出になると思います。そして、恐ろしく強くて、とても暖かい呉連枝老師は、皆様にとって八極拳の目標であるだけでなく、きっと人間としての目標なのだろうと強く感じました。
 最後に、二週間にわたって、とても熱心にご指導くださった呉連枝老師と、老師招聘の手続きに始まり、期間中通訳をこなしながら危ない技を受け続けてまで、老師から勉強できる機会を作って下さった服部先生に、そして期間中さまざまな形でお世話になった、同門の皆様に心から感謝致します。ありがとうございました。

高須俊郎 (土曜本部教室)



▲呉老師による実技解説。

 2004年、今年のGWは2年ぶりに呉連枝老師をお迎えして「八極対打と技の用法」をテーマに講習会が開かれました。前回までの来日講習は主に套路を教えて頂いたので、趣の変わった今回の講習会はいつにもまして楽しみにしていました。

 講習会は六合花槍から始まりました。普段は徒手の練習ばかりで、武器はあまりやっていなかったので呉老師から教わってもあまり進歩しないかもと思いつつ参加しました。
 まず、基本の舞花と欄拿扎をしばらく練習し、それが終わるとすぐに套路学習が始まりました。呉老師の大きくそして滑らかに動く套路を目の前で見て、滑らかに動けず堅く止まってしまったり、欄拿扎の動きに実が籠もっていないという自分の至らない箇所がはっきり見えました。
 六合花槍の他に劈杆子も練習しました。いつも使用しているサイズの槍で練習するとそれなりに回せるのですがそれを大槍に変えてやるととたんに力任せになってしまいぎこちなくなってしまいます。もっと力の入れ方抜き方が分かるとまた変わってくるのだろうと思いますがそう思ってもなかなか思うようにいきません。
 槍は今の時代では、実際には使うことはないので、体を鍛えたり技を練ったりするために練習するとよく言われますが、今回呉老師の槍捌きを見てよく分かりました。徒手の練習では手足を槍のように、槍の練習では槍を手足のように使っているように練習していくよう心掛けていきたいと思いました。

 次の講習は内功五法でした。今回は実技よりもホワイトボードを使用しての講義に多くの時間が使われました。今回の講義の中では「六力合一」という言葉が印象に残りました。一つの技の中に六大開の全てがあり、それを合わせて技を出すという意味です、今まで技の中に六大開は複数あるとは思っていましたが全てがあるとは思っていなかったので少し驚きました。

 講習会の後半3日はいよいよ本題の「対打と用法」です。後半の初日は主に老小架を4つ学習しました。対打をメインに教わるつもりだったのに老小架とは少し拍子抜けしたのですが、今回は呉老師が敢えて老小架を教えたいと言うことなので真剣に取り組みました。老小架は最も古い老架子と、老小架一二三路と四つあります。どれもちょっとずつ違う動作が入っているのですが、動作はシンプルで華麗な動きがあまりなく、新小架と比べてより実践的に思えます。
 この講習会は座学も半日ありました。技の用法を交えた八極拳理論です。説明の中に出てくる太極や五行、八卦等の中国思想の概念はわかりにくいところもありましたが、様々な技の用法や、その破法についての説明は分かりやすかったです。
 講義の休息中に老師に見せて頂いた技を試そうとしたのですがなかなか思うように動けませんでした。なるほど、頭で理解してもやはり実際には練習を積まないとダメだと言うことがよく分かりました。
 さて、メインの対打ですが数回通しただけで対打の套路の学習よりも、お互いの練習の中で相手が掛ける技を拒んだり、対打の道理から外れている技を掛けたりしてはいけないというような、練習する姿勢についての説明の方がより印象的でした。

 今回の講習会は、套路学習以上に呉老師の技の動きを目の前で見て大変勉強になりました。特に呉老師が力を抜いて相手に逆らわずに動きつつ、体を回転させながら技を掛けている姿に身を見張りました。自分は直線の動きが多いと改めて感じられたので、今後は曲線の動きを意識して練習していくよう心掛けます。

 最後に、呉老師が「今回の講習会だけでなく、続けて稽古していきましょう」とおっしゃった言葉を忘れずに、さらに稽古を続けていきたいと思います。呉連枝老師、そして講習会を開催して下さった服部先生ありがとうございました。

山崎義之(日曜本部教室)



▲六合大槍を学ぶ。

 東京から地元・大阪へ帰ってきて1年半、再び八極拳を学ぶ機会に恵まれ、
さらには呉連枝老師の講習会に参加できることになり、八極拳を学び続けることで広がる武縁にとても感謝しています。

 講習会では、呉老師自ら先頭に立って老小架等を指導し、また八極拳の技術・理論を解説してくださったので、学習経験が浅いために理解が不十分な我が身を残念に思いつつも、新鮮な刺激を得ることができました。
 六肘頭や対打などの対練では、以前に同じ教室で学んだ練習生達と旧交を温めたり、套路の一人練習では気がつきにくい視線や動作の意味を再確認することができ、今後の学習の参考になりました。

 三日間を通してもっとも印象深いのは、呉老師が講義の中でおっしゃっていたことなのですが、「技をかけるときは相手に近づけば近づくほど良い」ということと、「相手の技を破るときは自分の軸を相手の軸に近づける」という2点で、攻撃するときも防御するときも相手に近づくことが八極拳の技術を最大限に発揮する方法だということを学べたことです。
 自分の攻撃が当たる距離は、相手の攻撃を受けてしまう距離でもあるので、攻防一体の八極拳は自分の急所を守りつつ相手の急所をこじ開けて打つたいへん理に適った拳法だと、改めて感心しました♪

 今回の講習会で、ますます呉氏開門八極拳を学ぶことが楽しくなってきました。各地の同門諸兄とも有意義な交流ができ、次に再会した時に互いの成長を喜び合えるよう、今後とも練拳に励みたいと思います。

 最後になりましたが、大阪に引っ越して開門拳社の教室を離れていた私に、兵庫県宝塚市の八極太極同好会を紹介してくださった服部先生と、広く全国に同好の士を育てている呉連枝老師に感謝の意を表したいと思います。

松尾真宏@八極太極同好会(in宝塚)



1 - 2 - 3 - 4 - 5