2023.GW 第21回 呉氏開門八極拳講習会

2023年4月29日~5月5日

本年もコロナ禍のため、呉連枝老師の来日はかないませんでしたが、老師より呉氏開門八極拳の普及と学習者のレベルアップのためとお勧めを頂き、
【第二十一回開門拳社主催 呉氏開門八極拳講習会】を開催することとなりました。

【提柳刀講座】
4/29(土・祝) ・4/30(日)
元来秘伝であった「提柳散陰刀」を、基礎から応用まで学習します。

【徒手講座】
5/3(水・祝)・5/4(木・祝)・5/5(金・祝)
単打・対打・扶手・劈掛拳などを学び、各々の融合とレベルアップを目指します。

【コロナウイルス対策について】
・参加者には家を出る前に検温を義務付け、会場入口でも非接触式体温計で検温をしています。
・会場入口に各種消毒液を用意し、出入り時ほか随時、手や器械の消毒に使用しました。
・講習会では常にマスクを着用しています。
・会場は常に換気をし、休憩を多めにし、マスク着用の疲労を軽減しました。
・ソーシャルディスタンスに留意して間隔を広めにとっています。
・写真の撮影時にマスクを外しているものがありますが、喋らないことを徹底しています。

両儀 いちばん上へ 両儀

両儀 提柳刀講座 両儀 両儀徒手講座 両儀

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【提柳刀講座】

講習会は、4/29-30「提柳刀講座」から始まりました。
服部代表と指導員の号令に合わせ、小提柳・大提柳などの基本功を練習します。


安全なウレタン刀を使って、刀同士の攻防を指導する服部代表。

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この文章は2023年のゴールデンウィーク期間中に行われた講習会のレポートです。
自分は4/29, 4/30の二日間行われた提柳刀の講習に参加しました。

・はじめに
八極拳での代表的な武器と言えば槍ですが、刀も重要な武器の一つに挙げられます。
八極拳で柳葉刀を用いた套路である提柳刀の存在は知っていたのですが、正直なところ、最近まではあまり興味を惹かれませんでした。
日本人なのでやはり刀といえば日本刀という美意識がありましたし、柳葉刀のように片手で扱う刀は武侠映画などでもどちらかというと敵役の使う武器のようなイメージがありました。
しかし教室での先輩方がたまに練習している姿を見るに、呉氏開門八極拳特有の所作が多分に含まれており、槍と同様に繋がりが深い武器なのでは?という気づきを得て習ってみたいと考えるようになりました。

・提柳刀と徒手
例えば六合花槍では、突き刺すときにほとんど弓歩になります。
対して提柳刀ではほとんど馬歩で突きますし、槍に套路では出てこなかった頂肘を思わせる動作もあります。
六合花槍にも馬歩で突く動作があるのですが、半身になって片手で突くという理合は刀の動作を思わせます。
また単打の猛虎翻身という技は、身を翻しつつ右手を拳で突き出し左手掌を上方に掲げる技ですが、提柳刀で突き刺す動作でも同じように左手を掲げます。
この左手はガードのような役割にも見えますが、右手を勢いよく突き出す動作のバランスを取る意味も含まれているそうです。
八極拳と槍は表面上だけでなく実際にやってみると深い部分の繋がりがあることに気が付きますが、提柳刀は表面上の動作を追うだけでも同様に非常に深い関係性を感じ取ることができます。

・柳葉刀
提柳刀に用いられる柳葉刀は木製と金属製のものがありますが、自分の身長だと木製のものは短いものが多く、今回は身長に合った金属製の模造刀を持参しました。
金属製の刀は突き刺す動作で力が上手く通ると弾けるような音が鳴るという、他の武器にはない性質があります。
柄の部分を盃のように持ったときに刃先が耳のあたりに来るのが長さの目安だそうです。
呉連枝老師によると昔の柳葉刀は細い形状だったということです。
名前の通り柳の葉を模したのならより細い形状のはずですが、実用性を追求した結果、刀の先が太くなるように進化してきたのではないかと推測されます。

・提柳散陰刀
今回習う提柳刀の正式名称は提柳散陰刀といいます。
散陰というのは日本人には馴染みの無い名前ですが、人の命を散らす、という意味があるということで本来は隠されていた套路だそうです。
八極拳といえば接近戦の技法が有名ですが、この提柳刀は相手に近寄って斬るという手法が多数含まれています。
また、突き刺したときに刀を素早く抜けるように刀を震わすなどかなり生々しい口伝もあります。
槍は元々古代の戦争時に使う武器ということですが、刀の場合はかなり身近で生死のかかった場面で使うことを想定されてきた武器なのではないでしょうか。

・基本功
歴史をさかのぼると提柳散陰刀という套路は無く、基本功のみが存在したということでした。
自分が思うに套路というのは技を体に記憶させるといった理由の他に、他人に見せて評価を受けるという要素もあったのではないでしょうか。
その套路が無かったということは、やはり人に見せることを本質的に忌避せざるを得ない武器だったのではないかと推察されます。
基本功の中ではやはり最初の小提柳がシンプルながらも最も難しい動作であると先生も先輩方も口を揃えます。
まず手首の柔らかさが必要なこと、肩に力を入れず上げないようにすること、体全体を柔らかく使うこと、刃筋は体に沿うように、と注意すべき点も多く一朝一夕ではとてもうまくできません。
実際片手で振り回すと、見た目以上の遠心力が発生するのでつい肩に力が入ってしまいますが、なるべく手首を柔らかく使って体の動きをそのまま刀に伝えるのが大事ということでした。
小提柳では力を抜きすぎると落としてしまいますし、力を入れ過ぎると硬い動きになりスムーズに回せなくなります。
刀を握るのではなく親指と人差し指ではさむ意識で持つ、ということは繰り返し言われましたが場合によっては小指を使うこともあるそうです。
また歩くときは白馬翻蹄のようにしっかりと地面を蹴るのですが、このとき地面を蹴った力を刀で斬るエネルギーに変換するような意識も必要で色々考えることがあります。
いきなり早くやろうとせずゆっくり繰り返して正しい動作を身につけましょう、という助言を頂いたので焦らずに着実に身につけていきたいです。

・套路
基本功の練習の後は套路の確認です。
自分は集団で合わせるとなんとか順番通りできるという状態でしたが、十二ある基本功をやったことである程度繋がりや動きの分類が整理されたように思えます。
一つ一つの動作は基本功を同じか、やや変化したもので構成されているので似たような動作で迷うことがなくなった気がします。
また外から見えにくい斬る動作があちこちに含まれており「ここはちゃんと斬りましょう」という注意を何度か受けました。
至近距離で相手を斬る技というのは、実際にそこに人がいるようにイメージしないと、刃が寝てしまうなど集中力を欠いた動きになりがちです。
片手で上から振り下ろすときには弓歩になりますが、このときにも右手とバランスを取るように左手を上に掲げ、刃全体で撫でるように斬るという意識を持つ必要があります。
しかしこのように心身を一致させることは非常に難しく、「套路はまだ動きを追うだけで精一杯でまだ丹田の力を出せていない」という指摘を頂きました。
まずは体に覚えさせて流れを掴み、スムーズに演武しきることを第一の目標とします。

・対人練習
今回初めてスポーツチャンバラで使うソフト剣を使った対人練習を行いました。
柳葉刀と違って刃筋が無いので向きに注意する必要はありますが、安全に相手の体を打つことができます。
やってみるとわかるのですが基本功や套路で滑らかに動かせていた刀が、人間を相手にすると急にぎこちない動きになったりします。
また間合いも実際には近い距離で斬らなければならないのですが、離れてしまうことが多々ありました。
これは一人で練習していると気づかない点だと思うので今回の講習会で一番の収穫だったのかもしれません。
套路上では何をやっているのかイマイチわかりにくい徹歩攔裁という動作があるのですが、対人練習をすることで意味や間合いがわかりやすくなります。
練習方法として攻撃側はソフト剣で連続して足を突きつつ進んでもらい、防御側は木剣でさばくように退歩するのがやりやすいという感触を得ました。
実戦での使い方を考えると刀で連続して下段をついてくるシチュエーションは考えにくく、おそらく槍や棍などの長い武器を想定した防御ではないかという印象を持ちました。
こうした知見は套路を演武するときに自分でも意識して反映していきたいです。

・おわりに
今回の講習会では呉連枝老師直筆の拳譜のコピーもいただいきました。
毎回思うのですが、日本人にも読みやすいように簡体字ではなく繁体字で書いていただけるお心づかいが身に染みます。
例えば雄鷹展翅は漢字から生命力に溢れる鷹のイメージが伝わって来ますし、わりと生々しい用法の多い提柳刀の中に詩的な雰囲気を添えて一種の清涼剤のような爽やかさを感じます。
拳譜を眺めていると単に殺し合いの道具ではない文化としての武術の裾野の広さに思いを馳せることができます。
コロナ禍以来、日本と中国の行き来のハードルがぐんと上がりましたが、徐々に少しでも改善されることを願っています。
講習会を開くにあたってご尽力された服部先生、そして遠方よりお越しいただいた日本八極拳法研究會の渡邉先生、開門拳社の方々に深く感謝いたします。

本部教室 T. M.

提柳刀・徒手講習会に参加して

5月のゴールデンウイークに開催された,2023年度呉氏開門八極拳講習会の[提柳刀講座](2日間)ならびに[徒手講座](3日間)に参加させて頂きましたので,自分のための備忘録と合わせてご報告させて頂きます.

提柳刀は,最近まで非公開とされる様な,呉氏開門八極拳の秘伝套路であり,呉氏開門八極拳の精華のひとつと言われています.使用する刀は,正式には青龍刀よりも少し日本刀に似た柳葉刀を用います.この提柳刀という套路は,開祖呉鐘の時代からある套路とされていて,提柳動作という,刀を下から上に振り上げる刀法や,刀を前腕に押し付けたまま体を返す様に切り付ける散陰動作などが特徴的です.提柳刀は,提柳動作,散陰動作を含めた十二の基本刀法を繋げたものになっています.

提柳刀を習って先ず戸惑ったのは,柄を握ってはならないというところです.剣道などの様に,握り込まないとか,柔らかく握る,というのなら分かりますが,握らないどころか,人差し指と親指の間に引っ掻ける持ち方には,軽いショックを受けました.さらに,基本の提柳動作がまた一段と難しいのです.上に書いた持ち方で,手首を柔らかく使い,前方に提柳をしてから,長楕円を描くようにして刀を引いて,続いてそのまま後ろを切り下げます.そして,また前方に提柳して,・・・を繰り返す,提柳動作の基本練習が,「心折れる」ぐらい難しいのです.刀の軌道に対して刃が傾いたり,刀が体から遠く離れたり,刀が矢状面に平行な面(水平面と直交する面)から外れたりします.套路の一部の動作が難しいというのならまだ気は楽なのですが,この提柳動作は,提柳刀の基本・肝心要とする動作です.講習会の前にも練習をして参りましたが,やはり講習会においても提柳の練習が足りていないことを実感致しました.「簡単に出来ないからこそ面白さがある.」と,服部先生はおっしゃいましたが,私も下手の横好きとまでは行かないまでも,結構提柳の練習は好きですから,正に先生のおっしゃる通りだと思います.

提柳刀の套路を何とか覚え,数名ごとに提柳刀を演武することになりました.私に演武の順番が回って来て,演武を開始した早々,体がフワフワと浮いて刀に振り回されて居りました.そこに,兵庫にある日本八極拳法研究會の渡邉博文先生から,「気が上がって居る.もっと気を丹田に沈めなさい.」とご指摘頂きました.正しく,刀を操るばかりに意識が行ってしまって居ました.武器は手の延長であり,徒手の身体操作と同一であることを後から実感・反省した次第です.渡邉先生からは,その他にも,歩きながらの提柳動作(活歩小提柳)においても,白馬翻提における股関節の緩みと提の動作を考えなさい,という要訣を伺いました.刀を切り落とす動作でも,「腰の回転が使われて居ない,上歩撑拳と同じ要領でなくてはならない.」と注意されました.正に,徒手の要領で刀法が行われるべきであることを知らされました.

  提柳刀講習会2日目に行われた実戦演習では,ソフト剣(チャンバラソード)を用いて,提柳刀に現れる幾つかの動作の対人練習を行いました.基本動作にもある裁腕(相手が振り下ろして来る刀を下から自分の刀を抜いてかわして相手の手首に切り付ける,少し小纒に似た)動作では,手と足がバラバラで,なかなか一挙動で動けませんでした.これも刀に意識が行き過ぎて,体を徒手の時の様に動かして居なかったからだと思います.また,相手の刀や槍を柔らかくいなす動作である欄裁も,実際に対人でやってみると,思うように相手の刀に自分の刀が纏わり付かず,弾いたりして上手く行きませんでした.日本剣術に続飯付けという,相手の刀にこちらの刀を糊でくっ付けたかの様にして相手の技を防ぐ技が在りますが,それと同じ様にと,服部先生はおっしゃいましたが,刀と体が離れている感じがして,上手く行きませんでした.

徒手講習会では,単打・対打,六肘頭,扶手ならびに劈掛拳を練習致しました.単打は,受講者全員が学習済みであるため,主に,対打と六肘頭と扶手,また劈掛拳の基本動作を学習致しました.関西八極門学堂の石田泰之先生にも教授して頂きました.

六肘頭は,対打よりスピードは速く,比較的遠い間合いで行います.一方,扶手は,対打よりも一層近くで攻防を行います.対打,六肘頭,扶手という順に学習しますが,実戦性もその順で高くなっていると言われています.対打では,攻めと守りがきちんと分かれて居ますが,扶手になるとどちらが攻めでどちらが守りであるかというのも不明瞭になり,正に攻防一体となっており,対打の実戦変化であるとも言われている所以を感じました.

まだ学習段階が浅く,いつも対打では導いてもらって居る状態なのですが,この講習会では,導くべき側にさせて頂きました.自分の相手をして頂いた方には,誠に申し訳ありませんでしたが,日頃疎かにしていた動作も,きちんと確認する機会を得ることが出来きました.単打,六肘頭ともに,いつも力みが入ってしまうところを解消することが,今後の課題になりました.超接近套路の扶手は,その分下半身の攻撃も伴っているため,もっとしっかりした下盤を養成する必要性を痛感させられました.

劈掛拳は,きつい基本動作の後,抹面拳を行いました.劈掛拳は,八極拳よりも上下の動きも開合動作も大きく,消耗しやすい拳法ですが,私にとっては,この大きな動きで血行が良くなる感じがして,少し元気になる気がします.力みやすい体に丁度良いのかも知れません.
  講習会が終わってみて,今まで刀は刀の練習という感じで行って来たことを反省して居ります.体の使い方は,刀も徒手も同じであり,お互いがフィードバックされるものであると強く実感した次第です.

最後になりましたが,ゴールデンウイークという休日に,講習会を開いて頂き,幾つも貴重な要訣を教えて頂きました,服部先生,はるばる遠方から来られてご教授頂いた,渡辺先生,石田先生,ならびに,事務局様と教練の方々に,深く感謝致します.


本部教室 大塚隆巧

 

武術専門誌「秘伝」の取材を受けました。「秘伝 2023年7月号」に、掲載されます!

 

刀対槍の実戦用法を教示する服部代表。

提柳刀講習会にご参加の皆様、お疲れ様でした!

 

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【徒手講座】

全員で列を作って対打を練習します!

対人用法を指導する服部代表。

今回3日間の後半講習会のテーマは「単打」「対打」「扶手」「劈掛拳」でした。

三日間通して服部先生より単打の細かい助言もいただけましたので大変楽しく 修正を行うことができたと思っております。忘れないようにメモらなきゃ。

問題は対打です。私自身は普段の本部教室で何度か対打を練習させてもらっておりましたが 実際に最後までやるのは初めてです。まずは全体の手順を把握しないと次の動作に入るのが何をすればいいのか分からないのでスムーズに動けません。それを念頭に 置いてやったは良いモノの、今度は覚えるのに必死で姿勢が崩れてしまい、その点を注意いただきまして修正しながらやっておりました。あー確かに自分が崩れた姿勢のまま相手に当たっているなとか考えさせられるところが非常に多かったです。

途中でミット打ちもしました。入門して約2年になりますが元々打つぞ打つぞという邪念が強いので、 そういった邪念を捨てて打てるようになってきた気はしてます…。指導員の進藤さんには上半身は良いけど、 歩形がまだダメだね~って言われたので、あー站椿が足りてないんだなと改めて反省しました。修正点は山積みです。

扶手に関しては私自身対打を覚えることに必死で気が回らず、覚える事ができませんでしたが 体験する事はできたので、今後本部教室等でやる機会がありましたら徐々に覚えて行こうと思います。

劈掛拳は毎回劈掛筋肉痛になるな~と思いながら結局なっております。私としては肩回りとか気持ちが良いし のびのびとやれる感じもして劈掛拳は好きです。まだ腕を回転させることに関して注意はたくさんされているのでなかなか難しいですが、修正してうまくなっていきたいです。

 3日間、大変楽しく学ばせていただきました。服部先生、指導員の皆様、大変感謝しております。
今後とも引き続きご指導いただきたいです。

本部教室 土橋


2023年度GW呉氏開門八極拳講習会レポート

 今回、5月3、4、5日に行われた呉氏開門八極拳講習会に参加しました。私にとって2017年度に参加して以来、6年ぶり2回目となるGW講習会です。とても楽しみである反面、東京へ行く機会の少ない者ですので大分緊張もしていました。

 私が参加したのは徒手の講座で、今年の徒手講座の主題は「単打・対打・扶手・劈掛拳などを学び各々を融合させレベルアップを図る」というものでした。今回私の参加を強く推した理由の一つが扶手、劈掛拳の学習です。というのも山形同好会前会長の須藤先生が生前、扶手・劈掛拳をお教えしたのは現在同会の中では私の先輩2人だけであり、しかもそれも大分以前とのこと。私を含めそれ以降の会員はそれらを見たこともないような状況です。そのため扶手、劈掛拳を学び自身はもちろん同会の会長を引き継いだ者の務めとして会全体をさらに進歩・発展させたいという思いが湧き参加を決めました。

1日目は単打から開始しました。
全員で単打を行っていきましたが、普段こんなに大勢で練習を行うことのない私にとってはやはり少し萎縮してしまう場でした。早速最初の二郎担山で服部先生から「四六歩なのに重心が真下になってしまっているので重心の位置を注意しましょう」とご指摘を頂きました。その後も各々に修正すべき点をご指導くださいましたが、私がその回数が一番多かったかもしれません。度々流れを止めてしまい皆様に申し訳ありませんでしたが、自分がいかに変な癖がついていたのかがよく分かり既にこの時点で参加して本当に良かったという嬉しい気持ちでした。

休憩時間にも皆様がそれぞれ質問やお話をされているのを見ていると良い意味で気持ちが休まることはありません。単打における蹴りの練習に入り、その体の使い方も学ぶことができたし、単打での本来の蹴りの意義は目から鱗であり、この場にいなかったらずっと知ることができなかったかもしれないと今でも感じております。

後半は2人1組になって対打の練習に入りました。対打は練習頻度が少なく全く自信がありませんでした。案の定、掖捶で膝が伸びてしまう、打開の掌が横になっている、最初の大纏を掛けるとき小纏の掛け方になっている、等々本当に些細な点で間違っていました。歩型も不安定で進行方向すら間違う始末。山形同好会が長い間本部の練習に触れることができていないから、ということとは関係なく自身の功夫があまりにも足りていないため付いていくことができませんでした。でもそれだけ学ぶことが沢山あるのだから何としても山形に持ち帰ろうという気持ちで懸命に練習に打ち込みました。私の呑み込みが悪く何度も同じ所でつまずくのにも拘らず、ペアを組んでくださった大森教室の方はその都度丁寧に分かりやすく教えてくださりました。その後の2日間もずっと一緒に練習して頂き本当に感謝しております。

そして最後に整理運動代わりに劈掛拳の基本功となる歩法と劈掛拳を行いました。劈掛拳はYouTubeの開門拳社公式チャンネルが載せていたShorts動画で観ていたもののそれは套路の一部であり、全貌を、しかも直接この目で見るのは初めてのことでした。やはり普段行っている動きとはまるで違い、強いて言えば四朗寛と風格が似ているなぁ、というのが率直な感想です。見様見真似で頑張ったものの当然全くできず、これをこの講習会で覚えられるのかと一気に不安になったところで一日目を終えました。練習と慣れない土地で過ごすという心身両方の疲労感でとてもくたくたになりましたが、宿泊先で睡魔に襲われながらも学んだことを思い出しノートに整理する時間は何とも言えない幸せなものでした。

2日目は歩法と八式、小架一路から開始しました。これらも山形で練習してきたものと動作が変わっていたり自分の変な癖によって戸惑うこともありましたが、教練が修正してくださいました。
この日は対打をメインに練習する日となり、1日目で学んだことを直せるよう意識しました。修正できたと思えば別のところが戻り、今度それを意識すれば修正できていたところが戻り、という3歩進んで2歩下がるような有様でしたが皆様のご指導のお蔭様で少しずつ良くなっていきました。服部先生のご指導も徐々に熱を帯び、梱身大纏の要領やなぜ跳山閉肘で本当に跳ねる必要があるのか等初めて聞くことも多くありました。その中でも立身中正はとてつもなく重要で、3日目になりますがなかなか立身中正を保てていない全体に対して服部先生が、「八極を学ぶ者で立身中正をできていないのはありえない、全然なってない!」という旨の言葉をやや強めに仰っておられたことがそれを物語っています。そして私個人としては「熊澤さんはとにかく下半身が弱いから技を掛けるときも受けるときも安定しないので、毎日站椿と小架一路を行ってください。」とご指摘頂いたことを特に肝に銘じ、少ししか時間がとれなくても必ず毎日行っております。

最終日となる3日目は有難いことに早めに会場が開くということで、服部先生が来られるまで前日同様歩法と八式を行って準備しました。服部先生が到着され、最初に行ったのが内功五法の中の一部(懸肢貫指功の最後の方?と獅子抱球功)であり、これには心の中で大喜びでした。実のところ自分の職業柄、内功五法は呉氏開門八極拳の存在を知り始めた頃から強い興味がありました。しかし気功は下手に独学で行うと健康や精神に支障をきたす場合もあるとよく耳にしていたため、いつか直接先生方に教えてもらえたらと願っておりました。一部とはいえまさかの機会に恵まれたのはまさに幸運です。
 せっかく教わることができたのだからやはり内功五法も毎日練功しなければと強く思いました。
 前半は単打・対打の総ざらいに加え六肘頭も学びました。六肘頭も何度もつまずくところはありましたが自分なりに焦らずじっくり覚える気持ちで練習させて頂きました。
対打も最初のころと比べると明らかに改善したと思います。

  そして後半、いよいよ扶手と劈掛拳です。呉氏開門八極拳における戦闘形式の練習の中核となるのが対打、スピードを養うのが六肘頭で、この扶手とは戦闘における狡猾さと俊敏さを鍛えるもの、という服部先生のお言葉通り扶手には対打、六肘頭にはないような風格を感じました。距離はより近く、攻防における体の使い方もよりコンパクトで合理的であり、的を射ているかどうかあまり自信はありませんがそのように感じました。

対打、六肘頭、扶手はそれぞれ風格が変わっても共通して重要になるのが攻防を安定させるため立身中正を保つことやそれを実現させるための歩型などの基礎であり、これがなかなかできていなかったため「学び初めの頃など対練中にふらついてしまうことは仕方ないとしても、それがなぜなのかを考えないこと自体がダメ。もっと危機感をもって考えないと。」と、服部先生から全体に対し少し厳しめのご指摘がありました。これは八極拳に限らずあらゆる分野で共通していると思います。何も考えないのはもちろんダメですが、いきなり答えを教えてもらおうとするのではなく自分で考えながら練習を行い、それでも分からなければ先輩方や仲間に、それでも解決しなければ先生方に教えを乞う、という意識を大切にしなければと思います。

  最後の劈掛拳は服部先生、教練を交えて全員で行っていきました。ゆっくり行ったものの慣れない動きに翻弄されなかなか覚えられません。それでも最後尾におられた進藤教練が丁寧に教えてくださったので何とか食らいつくように頑張ることができました。正直な話、私は劈掛拳に対し興味はあったもののそこまで強い意欲はなく、山形同好会のためにという気持ちで講習会入りしました。しかし不思議なことに練習を重ねるごとに八極拳とはまた違う足の運び方や体の使い方に面白さを感じ始めていました。練習の締めに、八極拳を学ぶ人なら恐らく一度は耳にしたことがある「八極に劈掛を加えれば云々 …」の本当の意義を服部先生が教えてくださいましたがこれは思った以上に秘伝のお話でした。そしてこれをお聞きしてもっと劈掛拳も練習していこうという気持ちに変わりました。

 今回の講習会は3日間とも本当に充実したものとなりました。お蔭様で当初の目標の一つである「山形同好会の進歩・発展」のための大きな一歩を進むことができました。また自分自身も成長できましたし沢山の課題も見つけることができました。そう簡単に解決できない課題も多くあると思いますが焦らず着実に向き合って参ります。
  最後に、服部先生をはじめ教練・参加者の皆様には練習前や休憩中でも快く質問に答えて頂いたり無理なお願いも快諾して頂いたりと、様々な場面で本当にご親切にして頂き心より感謝しております。本当に有難うございました。

山形同好会 熊澤竜也

対打の実戦用法を示演・解説する服部代表。

関西から友好団体「日本八極拳法研究會」の渡邉代表と「関西八極門学堂」の石田代表がご参加されました!ありがとうございました。

ご参加されたみなさま、お疲れ様でした!

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まとめ

今回のGW講習会も、たくさんのご参加ありがとうございました。お疲れ様でした!
本部やカルチャー教室など普段一緒に稽古をしていないメンバーと共に練習することで、新たな発見があったと思います。
そして、関西から友好団体「日本八極拳法研究會」の渡邉代表と「関西八極門学堂」の石田代表がご参加され、さらに充実したものになりました。

これからも、切磋琢磨して呉氏開門八極拳の功夫を高めて参りましょう!

開門拳社代表 服部哲也

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